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ゲームの感想などを書いてます。

クナド国記/Purple software 感想

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【シナリオ】

争いが終わった「後」の世界ということで、今までの作風とはかなり変わったテイストでした。

ある種の風情があって、舞台設定としては良かったと思います。

シナリオとしては、「秀よりの良」といったところでしょうか。

双子ルートまでなら傑作の域だったと思うのですが、最終ルートで少し失速した感がありました。

 

【キャラ・CG】

CGに関しては、全体的なクオリティは高かったと思います。

ただやっぱり、統一感という意味ではハピメアの頃と比較すると多少違和感は感じました(それぞれの質としては問題ないのですが)。

あと、演出的な面ではもう少しパワーが欲しかったですね(特に最終ルートの対決のあたりは)。

双子の本筋ルートの末あたりが演出面でも一番力が入っていたように感じたのが、グランドルートがある作品としては評価が落ちるところですね。

 

キャラとしては、なんだかんだで一番印象に残ってるのはでしょうか。

思考面では普段はポンコツなのに大事なところで外さないところとか、そういうキャラはとても好きですね。

【BGM】

作風にマッチしていて、かつ個々のクオリティも高かったと思います。

バリエーションも豊富で、使われ方も効果的だったかと。

【歌】

OP曲に関しては2021年の中ではTOP5には入るかなと思います。

作中での使われ方も相まって、OPでもありEDでもあるというイメージが強いのですが、各ルートのラストのシーンでインスト版が流れると、非常に「締まった」印象を受けましたね。

他2曲も上々で、この辺りは流石でした。

【システム】

欲しい機能は大体揃っているので、悪くはないかと。

セーブ数が少ないかも?と思ったのですが、そこまでセーブが必要な作品でも無いですし問題はないでしょう。

【評価度】

評価度:8

双子ルートのクオリティで最後まで駆け抜けていたら、9ないし10もあったかなと思うと、少々残念なところ。

春姫ルートも展開に関しては問題ないと思うのですが、説明的な会話・テキストが続いたことで盛り上がりが欠けてしまった感がありました(あの問答自体は好きですが)。

あと、やはり双子ルートのように「ヒロインと力を合わせて難局に立ち向かう」シーンにして欲しかったなという思いはあります。

本来であれば春姫はそれを出来るだけの能力を持ち合わせているはずなので、特にそのように感じましたね。

 

【おすすめ度】

おすすめ度:8

体験版をやって面白そうであれば、最後までプレイして損は無いと思います。

ただ、グランドルートよりも双子ルートの方が盛り上がる(であろう)事を念頭に置いておいた方が良いですが。

 

【その他感想】

アオイトリ」以来のPurple software様の作品でした。

大雑把な感想としては「評価度」の欄に記載したことがそのままになります。

全体として悪くないけど、もう少し上を目指せた作品かなと。

双子ルートが本筋、派生ともに同メーカーの最高傑作クラスに面白かったと個人的に感じたため、春姫ルートが本当に色々と勿体ない。

重ねて申し上げますが、春姫ルートも流れとしては問題ないと思うんですよね。

細かな描写や展開、演出面での補完がアマツツミのハッピーエンド並みにあればと思わざるを得ないのが何とも・・・。

 

個人的に本作で一番心に残ったのは、双子本筋の茜と信の選択でした。

絶望的な状況を前にしてのあの判断。

何よりも「判断基準」に心が震えましたね。

あれこそがきっと、戦士の心得なのだと。

その後の演出も相まって、作中で最も盛り上がり且つ感動したシーンだっと思います。

 

あと、特筆すべき事柄としては優里についてでしょうか。

優里は「カントの象徴」ともいえるキャラで、彼女の変化=カントの変化という図式は非常に分かりやすく、上手い仕掛けであるなと感じました。

どうしても双子ルートに目が行ってしまう本作ですが、優里派生ルートの展開と結末もまた良いものであったと思います。

 

そんな感じで最終的な評価としては、アマツツミ・アオイトリよりは下になってしまうが十分楽しめた良作、といった具合でした。

多分、脱落式の形式ではなく3ルート並行なら、もう一段上の評価だったかな。

次回作がどうなるかは分からないですが、期待してるメーカー様の1つではありますので、引き続き頑張って欲しいなと思います。