ジュエリー・ハーツ・アカデミア -We will wing wonder world- /きゃべつそふと 感想
【シナリオ】
今までの冬茜トム先生の作風とは違った感がありましたが、非常に出来の良い作品だったと思います。
非常に熱い展開や涙腺に来る展開が何度もあり、ここまで刺さった作品はほぼ無いと断言できるでしょう。
その上で、先生お得意のどんでん返しもやっぱりあるので、期待にも沿った作品だったと思います。
【キャラ・CG】
メインのキャラに見せ場があるのはゲームとして当然なのですが、サブキャラにまで熱い展開が当たり前のように盛り込まれていて、凄いとしか言いようがないですね。
ゲームをプレイする前と一番印象が変わったのがカーラで、まず「サブキャラなのにめっちゃ見せ場あるやん!」ってのが率直な印象。
あのシーンとか、激アツでしたからねえ。
ソーマ君の上司であるマスターも、個人的には非常に好きなキャラでした。
ああいう、スタンスがはっきりしていて、それでも譲れるところは譲るキャラは大好物なんですよね。
あとは、ギメル。
ここでは深くは語りませんが、本当に良いキャラでした。
まさに漢。
CGに関しては1枚1枚のクオリティは流石なのですが、やはりバトルモノとしてはもう少し差分というか展開が欲しかったところかなあ。
まあ昨今のエロゲの開発体制的に、そこまで望むのは厳しいのかもですが。
【BGM】
非常にクオリティが高かった印象。
特に戦闘シーンに使われてる曲はヤバイですね。
お気に入りは、以下の曲でしょうか。
・Rebellion Tears
・Ruined Empire
・Everlasting Shine
・Prism Overload
・Emerald Letter
【歌】
歌はやはり「Rising Fomalhaut」が一番好きかなあ(ジュエハ版「jihad」?)。
この曲はヤバいです。
まあこの後聴きこめば、また印象も変わってくるかもですが。
どの曲もかなりレベルが高かったかと思います。
【システム】
システムに関しては、ぶっちゃけ微妙かなあと。
特に渦巻とかのUIに慣れてしまうと、痒い所に手が届かない感が強くて。
エロとかを外に出すこと自体は良いんですが、選択肢が開示されたタイミングで直遷移できるボタンの配置くらいはして欲しかったのが本音。
あとセーブ数が単純に足りないですよね。
次回作に関しては改善して欲しいとろです。
【評価度】
評価度:10
期待以上のモノをストレートに出してくださったので、当然最大評価になりますね。
ここ数年で一番好きな作品でした。
【おすすめ度】
おすすめ度:10
異世界ファンタジーモノとして、非常にクオリティが高いと思います。
単純なストーリーだけでなく各キャラの魅力も十分に表現されていて、ほぼすべてのキャラに愛着を持てる作品でした。
ただ結構キツい展開が多いので、その点にはご注意を。
【その他感想】
以下にネタバレありの感想を記載しておきます。
未クリアな方はご注意くださいませ。
いやあ、凄かったですね。
体験版フルバージョンをプレイした時からヤバい空気がプンプンしていましたが、本編が更にヤバかった。
まず戦域があそこまで広がるとは思って無かったんですよね。
なんだかんだで学園周辺にとどまるだろうと。
まさか大陸全土に広がるとは。
毛色とかは全然違いますが、「アリアンロッド・サガ」のリプレイを想起しましたね。
で、ここからが詳細な感想になるのですが、作品がヤバすぎてまとめることが不可能なので、思ったことをツラツラと書いていきます。
1.アリアンナとソーマの関係性
体験版をフルでやったときから、絶対触れようと思っていた話題になります。
本編をクリアして改めて考えてみると、本当に尊いですよね。
「彼女が死んで自分が生きるより、自分が死んで彼女が生きた方が良い」と思ったソーマ君の在り方が、「あの事実」を知った後ではより凄まじいものであったということが理解できてしまって。
実のところ、本編の途中まではアリアンナの愚直さにちょっとモヤっとしたものを感じていたんですよね。
でも愚直さこそがソーマ君を本当の意味で救い、他のクラス・ペガサスの皆も引き付けたのだとわかると、素直に敬服の念を抱きました。
そしてその上で、アリアンナの真実の想いへと展開されるのですから、本当に凄い造りでした。
やはりこの作品の真なるヒロインは、アリアンナでしょうね。
2.ベルカ・トリアーデという存在の美しさ
ベルカに関しては、キャラ紹介を見たときから「美しい人だな」という印象でした。
そしてそれは、最後まで見事に貫かれていたかなと。
その精神性が本当に好きで、キルスティンとのバトルはもう最高でしたね。
憎しみとか衝動とかではなく、「ただ最強を求めて剣を振う者」。
それこそがベルカの原点で、そんなベルカが私は大好きです。
3.「メア・アシュリーペッカー」
名前の意味を知ると、反則的に愛おしいキャラになりますよね。
名乗りを大事にする作品は大好きなので、その意味でも本当に良かったです。
自分の事を空っぽと表現していた彼女の中に、確かにあったもの。
「アシュリーペッカー」と名乗ったことの意味。
その思いゆえ、クラス・ペガサスの皆にも中々心を開かなかったのかもですね。
その後は「お前、誰だよ」みたいになるのですが、可愛いのでOKです。
4.ルビィの境遇について
本作で一番立ち位置が難しいキャラであったのは間違いないでしょう。
その境遇ゆえに引くことは許されず、かといって相手方にはかつての幼馴染が所属していて、本来的にはどちらかというと「自分寄り」であったはずなのに、敵方を守るようになるんですから。
また、生来の気質としては決して好んで殺戮をするようなタイプでは無いはずで、「今」に至るまでに一体どれだけ過酷な状況に遭遇したのかと思うので、安易に同情することすら憚れるなと思いました。
作中で色々とキツいこともやってるわけですが、それでも彼女の言動があったからあの結末にも至れたかと思います。
5.二人の先生
シャーロット先生とレイ先生、毛色は違いますがどちらもとても良い先生でしたね。
シャーロット先生はやる気がなさそうに見えてしっかりと生徒の事を見ていて、お人好しで面倒見の良い一面も持っていて。
まさか体験版範囲で退場することになるとは思いもよりませんでしたが、彼女の残した遺志が幾度となく生徒を導く様は、とても涙腺に来るものでした。
レイ先生に関しては、まじめで堅物な印象で、事実それは最後まで変わらなかったですね。
ただその顔の裏に「意志持ち」としての非常に強い思いを隠していて、メイナートとの戦いは作中でも屈指のバトルだったかと思います。
「少数必勝」という理論を正面から打ち抜く強さ、惚れ惚れしますよね。
6.ヴェオとマークスの関係
初っ端から相性最悪だったこの二人。
まあ過去の経緯や保持しているジェムの事を考えると当然ではあるのですが。
一度は上手くいくかに思えたのに、それが決定的にズレてしまったあの件。
あの展開は本当に衝撃的で辛く、この後どうなるんだろうかと不安にもなりましたね。
(トム先生、鬼畜です・・・)
その結果としてこの2人が死闘を繰り広げることになるわけですが、この戦いも胸が痛かったですね。
二人の慟哭がダイレクトに伝わってきて。
恐らくあの子は2人にとって、それぞれ「唯一」と言える存在だったと思うので。
でも、それでも立ち上がって未来を向く姿は、高潔なものであると感じました。
二人ともいいキャラでしたが、マークスについてはゲーム開始当初からは想像できないぐらい成長したキャラで、きっと良き王になるのでしょうね。
7.ソーマ君の「マスター」
良いキャラしてましたよね、マスター。
そこまで登場回数が多いわけじゃないですが、とても印象に残ってます。
立場上キツイことも言いますが、割とソーマ君に甘くて、ピンチの時にはしっかりとサポートしていて。
何より、自身の主義主張は変えずとも歩み寄れるところは歩み寄る。
その姿勢が本当に好きでした。
本作でもトップレベルに好きなキャラですね。
8.ギメルという漢
作中における絶望の象徴ともいえるキャラ。
圧倒的戦力を持ちながら滅多なことでは動かず、メデューサの構成員もその心情を把握し切ることは出来ていないという。
その巌の顔を奥に隠された絶望と思いの強さは、本当にすさまじいものでした。
ぶっちゃけギメル戦があまりに熱すぎて、その後のラストバトルが若干霞んでしまった感はあるかなと。
ギメルという存在。受け継いだ遺志。抱いた意志。
まさに「愛ゆえに」と言えるキャラだったと思います。
また、その思いに対して正面からぶつかっていったクラス・ペガサスの面々も最高でした。
最高の漢だったよ、ギメル!
9.ラストバトルについて
RPGとかをやっていると割とありがちな展開ですし、内容的にも良かったと思います。
ただ初見プレイ時にはその前のギメル戦があまりに良すぎたために、若干印象に薄かったかなあと。
でも一夜明けて改めて見返してみると、最高に熱い展開とBGMで、あって良かったなと素直に思いましたね。
終盤を一気に駆け抜けたせいで、多分キャパオーバーになっていたんでしょう。
「Rising Fomalhaut」がかかってからの展開は賛否両論あるんだろうとは思いますが、個人的には大好物だったりします。
何よりこの歌自体が、バケモノみたいにテンションあがりますしね。
10.最後に
作中でも特に印象深かったところをピックアップしてコメントしましたが、他にも語りたい部分は色々あったりします。
ただ際限がなさそうなのでひとまずはこの程度で。
そんなわけで今までプレイした中でもトップレベルで面白かった作品ですが、恋愛面での描写が弱かったのとUI周りが個人的にはマイナスポイントかなあと思います。
前者に関しては、出来れば「エピソード」にもっと欲しかった。
ですので、ハピメアのようなFD的なものを期待したいところです。
今作は「さくレット」のように、「書ききって」はまだいないと思うので。
ラストにカーラがしれっと何か言っていた気もしますし、期待して待つとしましょう。
そんなわけで。
「さくらの雲*スカアレットの恋」に続いて名作を作ってくださったスタッフの皆様に最大限の感謝を。
次回作も大いに期待しています。
(そういえば、そろそろあまショコの3は出ませんかね・・・?)