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ゲームの感想などを書いてます。

Clover Day's/ALcot 感想

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【シナリオ】

キャラゲーと言える作品ではありますが、どのルートもそれぞれのテーマ性に沿って比較的きちんと作りこまれており、良かったと思います。

特に杏鈴ルートに関しては、この作品で一番表現したかったであろうことが描かれていて、クオリティも高かったと思います。

【キャラ・CG】

ヒロインが計6人いるわけですが、各キャラ魅力的でキャラ被りも無かった点はかなりの高評価でした。

単純にヒロインとして見ると泉が一番好きだったかな。

ああいう分かりやすいキャラ、実は好きだったりします。

でもヒカルや杏璃といったキャラも、この作品の魅力を引き出す上では重要なキャラだったかなと思っています。

【BGM】

質・量ともに十分な水準であったと思います。

【歌】

某ランキングで上位に食い込んでくるだけあって、流石にクオリティが高いです。

また、「Heart's」の方の曲も作中で使われているのですが、使われるタイミングであったり演出であったりが秀逸で、そういう点でも素晴らしかったと思います。

【システム】

ゲームが発売された年代を考えると、十分な水準にあると思います。

セーブ数に関しても攻略ルートや内容、ボリュームを考えると問題ないレベルかと。

【評価度】

評価度:9

最初のルートが終わった時点では「まあ8かなあ」と感じていたのですが、最終的には一段上の数値になりました。

最初に感じていた不満がその後のルートで解消されたというのが大きかったですね。

【おすすめ度】

おすすめ度:8

ヒロインキャラは総じて可愛いしシナリオ自体も悪くないのですが、「ノリについていけるか」という点がこのゲームを薦める上でのネックになるんですよね。

私は許容できる範囲ではありましたが、人を選びそうだなとも感じました。

【その他感想】

元々が主題歌が好きで、その影響で「いつかプレイしたいなあ」と思っていた作品でした。

あとはまあ、キャラの属性(幼馴染とかとか)的にも気になっていたので、優先度高めでしたね。

で、最初のルート(私の場合、ヘキル・ヒカルルート)をプレイした時点では、「悪くないけど引っかかる点もあるなあ」というのが本音。

ヘキル・ヒカルルートのテーマ性と展開、結末は良いものだったと思うのですが、一点だけ心にしこりが残ったんですよね。

それは「失恋」に関する扱い。

この作品は、物語の開始時点で各ヒロインから主人公への好感度がMAXに近かったりします(もっとも、「それ以前」の分岐で多少の差異はあるのですが)。

それ自体は1つのゲームデザインだと思いますし、悪いとは思いません。

しかしそうなってくると、誰かのルートに突入した時点で他のヒロインは必然的に失恋することになるんですよね。

その事に関する演出や向き合い方が、ヘキル・ヒカルルートでは「軽かった」かなと感じてしまいました。

まあこのルートに関しては、「3者のトライアングルな感情」がメインテーマであったと思うので、致し方ない面もあったとは認識しています。

それと、杏璃に関しては「失恋」に付随する感情がしっかりと表現されていたので、最低限のフォローにはなっていたのかなとも思います。

そんな感じで、「内容自体は良いし納得も出来るんだけど、プラスアルファまで行かない」のが最初の印象でした。

ただその後のつばめルート・泉ルートで、上記の「失恋」に関する展開がしっかりと表現されていて、作品に対する印象も変わりました。

ヘキル・ヒカルルートをプレイした上でつばめルートをプレイすると、ヒカルがとても損な役回りなのが理解できてしまって、ちょっと辛かったですね。

ただそれでも、より良い方向にもっていこうとするヒカルには、自身のルートをプレイした時より以上に好感を覚えました。

つばめルートでは「演劇」、泉ルートでは「家庭」に関する内容がテーマだったかなと思います。

どちらも、キャラの境遇や性格などを考えると非常に「妥当」なテーマと展開だったかと。

親友且つ同じ人を想い合っているということで互いのルートでは互いが傷つかずに済む方法なんて無かったんですよね。

それにしっかりと向き合い、前に進んでいく様はとても美しいものだったと思います。

そして、杏璃のルート。

「義妹との恋愛に関してのハードル」がテーマでしょうか。

こちらも割とオーソドックスな内容で、順当に面白かったと思います。

個人的に、優人と一番くっついて欲しいヒロインが誰かというと杏璃でした。

恐らく作中で一番強く、一番長く優人の事を想っていたと思うので。

そういう意味でも、とても印象深いルートだったのではないでしょうか。

最後の決着についてはやや緩かったかなと思わないことも無いですが、まあ許容の範囲でしょう。

最後は杏鈴ルート。

恐らくこの作品で最も「家族」にフォーカスしたルートでした。

前段でも述べたように、杏璃は優人の事を異性として最初から強く意識しているので、杏鈴ルートに入った際の杏璃の感情の炸裂の仕方は、当然他のルートを上回ることになりました。

距離が最も近い分、つばめルート・泉ルートのそれ以上ですね。

ただそれでも、最終的には非常に良いところに着地させたのではないかと思います。

また、その後の展開こそがこの作品の本筋ともいえる内容で、まさに「双子」「家族」の物語であったと思います。

キャラゲーでここまでテーマ性を表現できる作品はあまり無いと思いますので、率直に感服しました。

 

最終的な感想としては、傑作と呼べる作品だったと個人的に思います。

近年動きがみられないメーカー様ではありますが、叶う事なら新作をプレイしてみたいなと思える作品でした。