アンレス・テルミナリア/Whirlpool 感想
【シナリオ】
基本的に「pieces」の世界観を継承した作品となっていて、シナリオもかなり作りこまれている印象でした。
各キャラのルートで異なったテーマ性が設定されていて、それぞれで読みごたえがあったと思います。
恋・Trueルートは特に感動的であるのは疑いようもないのですが、Trueまでクリアすることによって理解できるシャロンルートの「真実」も、なんとも心に響くものでした。
一方で生粋のシナリオゲーと比較すると、展開であったりテキストの運びであったりの面で、もう少し改良の余地があるかもと思いました。
【キャラ・CG】
流石というべきか、当たり前のようにクオリティが高いです。
キャラに関しては非常に個性的なキャラがシナリオと上手く融合していて、非常に良かったと思います。
CGに関しても1つ1つは完璧といっても良い出来で、Trueの力の入り具合も良かったと思います。
ただできれば、シャロンルートのラストにももう少しスチルとかが欲しかったかなとは思いました。
あとは、アレですね。
妹キャラか幼馴染キャラのどっちかはせめて欲しいなあ・・・なんて思ったりもしたり。
【BGM】
量・質ともに水準以上で良かったと思います。
個人的に好きなのは「木漏れ日の中で」「小さな世界の小さな幸せ」「アンレス・テルミナリア」あたりでしょうか。
【歌】
歌に関しては3曲ありますが、どれも高いレベルにあると思います。
また、作品をプレイしてから解釈が変わる歌詞は、ゲーム音楽の醍醐味ですね。
どの歌も「新しい世界」を想起させるのは、ちょっと泣けますね。
【システム】
文句のつけようがないくらいに素晴らしいですね。
もうどこのメーカーもこのUIで良いんじゃない?って思うぐらいプレイしやすかったです。
【評価度】
評価度:9
CGやシステム、キャラ等の「基本スペック」から大外れは無い作品だろうと事前から確信していました。
実際にプレイしてみて予想以上に感動し、楽しめたと思います。
【おすすめ度】
おすすめ度:9
まず「純愛ゲー」として、とてもよくできた作品だと思います。
その上で、キャラも素敵でシステム面等も優れている作品なので、是非プレイして欲しいですね。
ただ、できれば「pieces」を先にプレイしてからの方が望ましいかなと思います。
その方が世界観とかを理解しやすいと思うので。
【その他感想】
情報が発表された当初からとても気になっていた作品でした。
(フルプラという意味で)前作の「pieces」から世界観を踏襲しており、非常に親しみややすい作品だったかなと思います。
また、「pieces」の持ち味でもあったキャラの掛け合いも健在で、楽しいシーンは本当に楽しかったです。
体験版をプレイした時の感想記事もアップしているのですが、大体予想があっていたといえるのではないでしょうか。
(恋の予想に関してはなんとも言えないところですが)
特筆すべきことが何かと考えたときに、一番最初に浮かんだのはイノリでした。
主人公の別人格というか、夢の中で度々対話する存在。
彼が何を考え、望み、どういう言葉を主人公にかけていたか。
Trueまで終わってから思いを馳せてみると、不思議な感覚になりましたね。
キツめの言葉を放っているはずなのに、何故かあったかい気持ちになるような。
彼の選択と決断もまた、エールを送りたいものであったことは疑いようも無いです。
次に語るとすれば、やはり「ギフト」という設定とその果てに辿り着いた結末でしょうか。
ギフトに関しては一部強引な部分もあったかなとは思いますが、全体としては上手く繋がっていたのではと思います。
それらの特定を全て駆使して最後に導いた結論は、「この作品」であれば当然辿り居て然るべきもので、それ故感無量でもありました。
以降では各ヒロインのルートについて軽く触れてみたいと。
まずはルチアルート。
体験版の時点で中々に面白いキャラでしたが、同時にゆがみのようなものも感じていました。
その時感じたゆがみは概ね予想通りというか、予想以上だったというか。
最後に託されたものと、その後の彼女の意志はとても眩いものだったと思います。
エンディングに関しては某人物が言っていたように、なるほど確かに「過介入」かもと感じました。
次はりなルート
「いちばんのともだち」というのがどういう意味なのか、それが示されるルートでした。
こちらは予想以上に重たく、かなり衝撃を受けたのを覚えています。
また同時に、主人公と「りな」の絆を強く感じられる素敵なお話だったのではないでしょうか。
そしてシャロンルート。
圧倒的な才覚と、そのために運命に縛られたキャラで、その運命とどう向き合うかがテーマだったかなと思っています。
シナリオ欄にも記載しましたが、やはり最後の方の場面が強く印象に残っています。
彼女の鎌は切った対象のギフトを継承する能力があるわけで、つまりは「そういう事」なんですよね?(未プレイの方にはさっぱりだと思いますが)
彼女が背負ったものの重さと、それでも笑顔を浮かべる彼女の在り方には敬意を表したいですね。
最後は恋ルート。
作品の根幹ともいえる存在で、過酷な運命を背負った少女。
何重にも折り重なった運命の影響で、色んな意味で「詰んで」いる状況でした。
そんな中で「前を向こう」とする姿勢と「消えてしまおう」とする姿勢がない交ぜになる様は、なかなかに辛いものがありました。
ただそれでも彼女の存在が、主人公や黒屋、他のヒロイン達の在り方を変えた結果として最後の結末があると思うので、彼女の悩みや苦しみは決して無駄ではなかったと思います。
こうして振り返ってみると、とても濃い作品だったなと思います。
また、各ルートでバラまかれた伏線がTrueで上手く回収されていることも、とても好印象でした。
次回作も是非購入させていただきたいと思います。
(が、その前に本作の続編ないしFDをまずは期待したいですね)