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ゲームの感想などを書いてます。

ゆらめく心に満ちた世界で、君の夢と欲望は叶うか/CUBE 感想

【評価ポイント】

設定であったり、1つ1つの情報の出し方が特に良かったと思います。
攻略ルートにもよるのでしょうが、巴→このは→月乃→すみれと進んでいくと、適切なタイミングで情報が開示されていったと思います。
(まあ月乃に関しては、最後にもう1ルートというか分岐が発生するわけですが)
読み進める上で、「今は一体どういう状態なんだろう」「このキャラの真意はどこにある?」といった考察がとても楽しかったですね。
あとは、舞台回しのキャラとしてクロ&シロと、すみれの2人(というか2パターン)存在することもあり、進行スピード的な面でもちょうど良かったと思います。

【マイナスポイント】

アオイトリ」の後にプレイしたこともあって、全体的なクオリティという面でやや落ちるなあと感じました。
特に導入の部分と月乃の扱いに関しては、もう少し丁寧な作りこみが欲しかったかもです。
ただ月乃に関しては力を入れすぎると、作品自体がかなり重たくなってしまう恐れもあるので難しいところですが。

【評価度】

評価度:8
購入してからプレイするまで時間が空いたこともあり、他の方の評価なども目に入る中で不安もありました。
が、実際にプレイしてみると、とても楽しかったというか自分に合っていた感じでした。
キャラ的な話で言うと、すみれは17年のヒロインの中では1,2を争うくらいに好きになりましたね。

【おすすめ度】

おすすめ度:7
マイナスポイントとして上げた部分を考慮すると、「躊躇い無くお勧め!」はちょっと難しいかもと思います。
ご都合主義的な展開もOKな人であれば、十分楽しめると思います。

【その他感想】

パッケージの絵柄をみて、一目で購入を確定させた商品でした。
他人にとってあまり意味が無い気もするので評価ポイントには上げませんでしたが、パケ絵だけであれば間違いなく17年の個人的ベストゲームです。

アオイトリ」とどっちを先に済ませようかと考えていたらどっちも中々進まず、年をまたぐことになっちゃいました。
ただ、積まずにプレイして良かったと思える作品でしたね。

全体としての「見せ方」が個人的にはとても上手く感じられ、一番好きなキャラであるすみれのルートで全部片付いたのは嬉しかったです。
ぶっちゃけた話、他のキャラのルートを進めている最中でもすみれの言動が気になり、どういう伏線なんだろうとずっと考えていました。
最終的に開示される(でも初期から示唆されている)「設定」がとてもツボにはまったこともあり、更に好きになったキャラです。
(17年のゲームの中で同ランクで好きなのが「神ヤバ」の麗なので、結局そういうシュミかと感じましたが・・・)

 

作品全体としての話をすると、やっぱり「考察」が楽しい作品でした。
「アペイリア」のように複雑怪奇極まる事象について頭をプスプス言わせながら読み解くのではなく(アレも楽しいのですが)
与えられた断片的な情報を元に、先の展開であったりキャラの深層心理であったりを考えるという素直な作品だったと思います。

 

以下は割りと作品のネタバレになるのですが。

 

全ルートをプレイした後に思ったのは、すみれの心情でした。
あの場面で彼女はどう思っていたのか、あの時発した言葉はどういう思いから発したのか。
特に心に残っているのが、「何故、葵を自分に惚れさせようとしていたのか」ですね。
当初の目的を果たすには、他の選択肢はあったはずなのにあえてそういう行動をとった理由。
そのことに思いを馳せると、微苦笑が浮かんできたりします。
最初から答えなんてきまっていたのではないか、と。
そんなところも彼女の魅力の1つなのだと思いますね。

というわけで「おすすめ度」は「7」と辛めな評価なのですが、本当は沢山の人にプレイして欲しい作品ですね。
(そしてすみれに関する感触を聴きたい・・・)

葵とすみれの行く先は艱難辛苦に満ち溢れているのは想像に難くないですが、その更に先は幸せが待っていると信じたい、そんな作品でした。