pieces/揺り籠のカナリア/Whirlpool 感想
「すべては、この時のために」
【評価ポイント】
前作に続いてですが、キャラ同士の掛け合いは非常に良かったと思います。
今作は特にイチャラブであったり、「面白い」会話が多く、とても楽しませてもらいました。
また一方で、紬ルートであったり結愛ルートであったりは、前作で曖昧になっていた部分をきちんと補完していて、そういう意味でも良かったと思います。
【マイナスポイント】
「今作としてのTRUE」が、見方によっては前作のTRUEを打ち消す格好になっていて、そういう意味では評価が分かれるのもやむなしかなあと思います。
あと、深織ルートとありすルートに関しては、ふわっと終わっちゃった感があったので、もう少し「クライマックス」を演出して欲しかったかなと思いました。
【評価度】
評価度:9
個人的には、今回の結愛ルートは「有り」だと思っていて、その展開や内容も非常に刺さるものだったので高評価となっています。
【おすすめ度】
おすすめ度:8
先にも述べたように、前作のTRUEの解釈が変わる格好になるのでそういった意味では、ややおすすめし辛いというのはあります。
ただ、合う人にとっては珠玉ともいえる作品なのではと思います。
【その他感想】
まず、深織ルート・ありすルート・貴美香ルートに関しては、概ね期待していた内容でした。
深織ルートに関しては、のっけからものすごい「茶番」の連続で、本当に笑わせてもらいました。
とても楽しかった。
ありすルートに関しても似たような感想なのですが、最後に関しては「あっちの世界」のことを知っているだけに、形容しがたい感情が生まれたのは間違いないです。
その感情は決して悪いものではないと思いますが。
貴美香ルートに関しては、なんかこう凄かったですね。
「大体ウザいんだけど、なんか可愛い」みたいな。
そんな中でも貴美香の善性が表現されてたのは、とても良かったと思います。
あと、私服がなんかえっちぃかったですね(サンプルCGでも見た記憶がなかったので、かなり意外でした)。
で、残るは2つのルートですが、まずは紬ルートから。
紬ルートに関しては別のところでもコメントしたように、「TRUEの傍流」みたいな位置づけになっていると思っていて、前の3ルートとは毛色が変わってきますよね。
ソムニウムでは、その構成上「宿題」とならざるを得なかったことに対して、1つの回答を示したと思います。
何より、紬があの世界で前向きに生きていけるようになったことは、とても良かったと思います。
ただ、「あの世界の後でも」紬と燕は寄り添って生きていって欲しいと思っていて、そういった展開までは行かなかったのが、心残りではありますが。
(アベンドとかでなんとかなりませんかね・・・涙)
そして、結愛ルート。
正直どんな展開になるのか想像もつかなかったので、最初の方はあまり進めることが出来ませんでした。
その代わり、ある一定ラインを超えて状況が把握できて来たら、一気に進みましたが。
展開としては「そう来たか・・・!」というのが率直な感想ですが。
確かに、前作で漠然と引っかかっていた部分ではあったんですよね。
「どうやってあの状況を成したんだろう」というのは。
そういう意味では、自分の中では案外スッっと腑に落ちました。
「腑に落ちた」側の人間としては、その内容は非常に感動的でとても良かったです。
「ハピメア」でもそうなのですが、
「自分が一番大切に思うことのために、それまでの自分の意思や決断すらも否定する」流れは個人的に非常に刺さる展開だったりします。
それこそがきっとその人が本当に辿り着いた答えなんだろう、と。
この作品に関しては上記の「否定後」の流れも秀逸で、
「それまでの全ての出会いや交流はこのため、一番尊いものを手にするためにあった」
と強く思わせる内容でした。
そんな中で、いつも連るんでいた面子の変わらない在り様はとても暖かくて、ここが個人的に一番感動した場面でした。
特に紬。
この娘は本当に幼馴染で、幼馴染で、幼馴染なんですよね!
あのタイミングでの「高坂燕くん」は、率直に言って卑怯・・・。
あれだけでも、この結末に価値があったと思っています。
最後に結愛についてですが。
燕の背中を押したときの彼女はどういう思いだったのかなあと。
諦めていたのか、信じていたのか。
でもきっと、後者なんだろうと思っています。
だって、ずっと笑ってましたから。
最後に至る結末に希望を持っていたからこそ、笑っていられたんだと思います。
本当に意地っ張りで、強がりで、内心思っていることを殆ど語らなくて。
扱いがとっても難しい娘ですが、そんな結愛だからこそ燕と並んで居るべきなんだろうとも思います。
美しい夢物語は終わって、新たなるスタート。
彼・彼女らに幸多からんことを祈ってます。