out-of-reality

ゲームの感想などを書いてます。

直近のプレイ予定

月末までずっと放置するのもアレなので。

 

今現在は「その日の獣には、」をプレイ中なのですが、その後は以下のような感じで進めたいなあと思っています。

 

ロスコンチェルト(余裕があれば)

 ↓

pieces/揺り籠のカナリア

 ↓

鍵を隠したカゴのトリ

 ↓

積みゲーを何か、もしくはアメイジング・グレイスの再プレイ

 

正直なところ、今年はフルプラのソフトがあんまりピリっこないと感じるのが実情ですね(サガプラと紫の新作は、評価待ちです)。

少なくとも、さくレットに関しては期待が出来るのですが、逆に言うとそれくらいかも・・・。

下半期はビッグタイトルやダークホース的な作品が出てくると嬉しいですね。

 

サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う- /枕 感想

【評価ポイント】

この作品の最大の評価ポイントはシナリオ構成にあると思います。
各ルートで必要な情報が過不足なく開示され、終盤に向けて全てが収束していく様は、それ自体が一つのアートであったと思います。

また、節目節目で語られる各キャラの想念はとても美しく、凄烈で、それでいて儚い。
まるで淡雪か、桜の散る様を想起させるものでした。

【マイナスポイント】

某キャラに関しては最後まで「ウザい」以上の感想が持てなかったですねー・・・。
正直、プレイ意欲に大きく影響したのは事実です。
それが作品の中で必要な存在であれば、キャラ性に納得は出来ずともストーリーとして受け入れることは出来るのですが、うーん・・・っといった感じでしょうか。

【評価度】

評価度:10
私の中で、「ハピメア」「さくら、もゆ」と並ぶ最大評価作品となりました。
美少女ゲームとしての到達点の1つ、と考えても良い作品だと思っています。

【おすすめ度】

おすすめ度:9
10をつけるか迷ったのですが、マイナスポイントに書いたキャラの事とTRUEのルートが「まだ終わってない」事がネックになったので、9に留めています。

【その他感想】

2017年にソフトを購入して、ようやく終わりました。

山を越えれば驚くほどスムーズに進んだのですが、そこを超えるまでが中々に厳しかったですね。

最初のルート(多分「真琴」ルートかな)を乗り越えれば、ルート構成などもある程度把握できて進め方の目途が立つと思うので、これからプレイされる方が居れば、まずは1ルート終えるところまでを目指して欲しいですね。

で、この作品は最後までプレイすると、語りたいこと・語るべきことが色々あるように思えるのですが、果たして何から語ったものか。

 

 

1つはまあ、「御桜 稟」という存在に対しての思いでしょうか。
キャラデザや性格等から、作中において一番好きなキャラクターではありました。
それ自体はプレイ初期段階から最後まで変わることが無かったのですが、「思い」の質に関しては変遷がありました。

・最初は、漠然とした「良いキャラだなあ」という思い
・その後、その才能や在り方に対する畏怖
・最後に、ただ「救われてほしい」という思い

私にこう思わせたキャラは、ハピメアの「舞亜」を措いて他には居ないです。
つまるところ、私の中で予想以上に大きな存在に育った、ということでしょうかね。

 

2つめは、「救済」について。
救済というと大仰に聞こえますが、主人公の草薙直哉クンは実は裏で色々と動いていたりします(主に誰かを助けるために)。
それはきっと当人が望んだことであるのは間違いないのですが、視点を別に移すとどうなるのだろうか。
どこぞの征服王の言葉を借りるわけではないですが、彼はただ救うだけでその代価を受け取ることはしなかった。
それがため、あのTRUEのルートに至ったのではないかと思わざるを得ません。
折々で正しく代価を受け取っていれば、痛みを分かち合っていれば、あるいは違った結末もあったのでは、と。

 

3つめは、草薙直哉という男について。
上にも書いたように彼は作中で、もしくはそれより以前から、自らの事を顧みることなく周りの人を救おうと行動しています。
それは自己犠牲ではなく自ら望んだこと、あるいは単に選択の余地自体が無かったことではあります。
それが正解だったのか誤りだったのか、その回答は示されていません。
ただ1つ思うことは、そういった道を辿って彼が辿り着いた「結論」は、きっと正しいものであるということ。
そう信じたいと願う自分が居ました。
作中での彼の行動すべてに共感できるわけでは無かったですが、きっと「この先」においては光をつかんでくれるものと信じています。

 

4つめは、至る結末について。

サクラノ詩を受けてサクラノ刻につながるはずですが、その「刻」についての思いを少し記したいなと。
現時点で公開されている情報等から推察すると、過去から現在にかけての時間的な「縦方向」の因果交流の結末として、クライマックスに至るのではないかと思っています。
(ティザーサイトを見ただけだと美術部員が攻略対象になってそうに見受けられましたが、そうではないっぽいので一安心?しました。

そうなった時に、私として思いが向いてしまうのは、やはり稟についてです。
最終的に(もしかしたらルート途中かもしれませんが)、彼女と対峙して向き合うことになるのではと思っています。
もし、そのような状況になるのであれば、直哉にはどうか彼女の「孤高」を打ち破って欲しいと願っています。
きっとそれが出来るのは、現在において直哉ただ一人だと思うので。


 

さいごに、全体を振り返って改めて。
各ヒロインのルートに関しては、ぶっちゃけた話あまりコメントが無いというか、単純に、とても綺麗にまとまっていたかと思っています(「真琴」ルートはちょっと割をくってるかもですが)。
無論、色々と受け取ったモノや感じたことはあるのですが、TRUEのルートを終えた時で振り返ると、細々と言及するのは無粋に感じています。
その中であえて特筆するとすれば、里奈と優美の関係性でしょうか。
特に里奈の思考についてはやや驚かされ(もっと飄然としたキャラだと思っていたので)、それ故「あのルート」の危うさをも秘めた終わりは、ある意味でとても甘美だったのかもしれません。
(あと単純に、一番エロかったのでは?という疑惑も)

というか、TRUEのルートを辿った時に、この2人は結局どうなってるんでしょうね。

 


芸術を扱う作品として、私の中には「神曲奏界ポリフォニカ」が常にあります。
あちらは音楽がテーマですが、描かれる人間模様などは割と似通るもので、この作品をプレイする中で、「ポリフォニカの世界に当てはめるとどうなるだろうか」という思いが度々浮かび上がりました。
アチラの世界では、天才だの才人だのが色々と、本当に色々と事を起こすので、とてもいい比較材料になったかと思っています。

結局のところ、才能というものにどう向き合うのか。そして、余人に対してどう接するのか。
それがきっと、この手の作品の統一的なテーマなんでしょうね。
そういった意味で言うとTRUEのルートで直哉が辿り着いた答えには共感でき、稟の在り様に関しては、辛い。
そう感じてしまいます。
それを含めて、この作品の美だとは思うのですけどね。

 

美しく、感動的で、そして寂寥感が募る作品。
それが、全てをクリアした後で振り返った時にこの作品に抱いたイメージでした。

はたして、「サクラノ刻」が終わった時にそのイメージがどうなっているのか、楽しみでもあり怖くもありますね。
今はその発売を、ただ待ちたいと思います。


私としては、稟がかつての笑顔と意気を取り戻せることを、祈っています。
だから、仮に直哉が稟と対峙することになった場合、稟がどれだけ圧倒的でも負けないで欲しい。

「人の願いは 神様にだって届くんだから・・・!!」

 

あまいろショコラータ(きゃべつそふと) 感想

【評価ポイント】

この作品の一番の評価点は、なんと言っても可愛いキャラですよね。

キャラデザも勿論素敵なのですが、声とのマッチングが抜群で相乗効果で「ものすごく可愛い」状態に仕上がっていると思います。

ちなみに、個人的に一番刺さったキャラは千絵莉でした。

拗ねた時の声と表情がとても良い。

【評価ポイント】

マイナスポイントとしては、やはりシナリオの薄さは否定できないかなあと思います。

下手にシリアスにするよりはずっと良いのですが、もう少し起伏があっても良かったかなと思います。

【評価度】

評価度:7

他の作品との兼ね合いという面も含めて7にしています。

まあ、8をつけても問題ない作品だったかとも思っています。

【おすすめ度】

おすすめ度:8

「シナリオがそういうもの」と分かっている前提の作品ではあります。
それを抑えているのであれば、買って損はないと思います。
むしろ、キャラの可愛さについては保証しますので、積極的にプレイすることを推奨します。

【その他感想】

この作品を購入した理由としては

イラストレーターの方のファンである
・今回メインを担当された声優の方のファンである
・なんとなく、ゆるーい作品をプレイしたい

等々あるのですが、一番はやっぱり「メーカーへのお布施」の意味合いが強かったです。
前作の「アメイジング・グレイス」が本当に優れた作品で、それに対するリターンの一環と次回作である「さくらの雲*スカアレットの恋」(さくレット)への期待を込めて、ですね。
そういった意味で元々ハードルがそんなに高くない作品ではあったのですが、それでも十分「良作」であったと思います。

まあ「あめぐれ」みたいなシナリオを期待されていた方には肩透かしだったのかと思いますが、そういった作品でないことは事前に相当念入りに告知されていたと思うので、被弾された方はそんなに多くないのではと勝手に思っています。

で、実際の感想を端的に言うと「想定以上にシナリオは薄いが、期待以上にキャラが可愛いですね。
ただ、シナリオが薄いとは言っても「千絵莉とみくり」の対比であったり、今回はサブキャラである苺華やナナのキャラ付け(および顔見せ)は上手いことできており、作品として狙ったものは正しく表現できていると思っています。
だからまあ、後はプレイヤー側がどう感じてどう受け取るのか次第の作品、といったところでしょうか。

個人的には、相対評価をしている以上高い点は付けるのが難しいけど、十分「有り」でした。
ロープラなのでそんなに高くも無いですし、苺華やナナのルート追加(続編)も決まっているっぽいので、プレイして欲しい作品です。

なお、次回作である「さくらの雲*スカアレットの恋」には超期待しております。
既に公開されている情報だけでも傑作の雰囲気が凄く漂っていて、今年発売されるゲームの中では最高峰になる可能性が極めて高いと思っています。
(まあ、サクラノ刻が出るようなことが万一あれば、全てひっくり返りうるんですが)

この記事を読まれている方で「さくレット」が未チェックな方が居られたら、是非是非チェックしてみてください。

神様のような君へ/CUBE 感想

明日へと続く 君との今。

【評価ポイント】

評価ポイントは幾つかあるのですが、箇条書きにすると以下の通りです。

①各々のキャラが個性的且つその個性がシナリオの中で活かされている
②ルート間の絡みが上手くできていて、TRUEとも言えるツクヨミルートで他のキャラが何故そういう行動に出るのかが、スっと頭の中に入ってきた
③すべてのルートにおいて、相棒となるツクヨミが優秀
④サブキャラのルートも割としっかりしていて、特に愛彩梨ルートはメインの3人と比較しても遜色ないレベル
⑤主人公とヒロイン達の掛け合いが面白く、会話のテンポも良いので飽きが来ない

個人的に一番評価しているポイントは③で、この事によって「読み物としてとても楽しい」作品に仕上がっていたと思っています。

【マイナスポイント】

ルート構成などは良かったと思うのですが、キャラの心情描写については、造り込みが若干荒い部分があったように感じました。
あと、展開が少し急というか「結」の部分にもう少し余韻が欲しかったです。
特にツクヨミルートについては、もう少しボリュームを増やしてでも、もっと色んな描写を丁寧できていれば、もっと上の評価になっていたかなあと思いました。
(ルート間のバランスというものがあったのでしょうが)

【評価度】

評価度:8
期待以上の仕上がりであったと思います。
前作の「ゆらうか」と比較しても、全体的なクオリティという面では向上していたと思います。
それだけに、もうちょっと上を目指せたかなという作品でもあったかと。

【おすすめ度】

おすすめ度:8
あくまでキャラゲーとしてですが、やってみて損はないのではと思います。
ただ、ラナルートは割と評価が分かれるというか心情的にちょっとアレなルートもあったりするので、事前に情報の収集はすることをお勧めします(自分は事前情報をキャッチしていたので、ダメージは無かったですが)。

【その他感想】

そもそもは、パケ絵で購入を決めた作品でした(前作のゆらうか同様)。
結論としては、買ってよかった作品なのは間違いないです。
評価ポイントにも記載しましたが、掛け合いがテンポ良く進み内容も楽しいので、飽きることなくストーリーを進められました。

「AIっぷり」は存分に披露しながらも一方でめっちゃフリーダムなツクヨミ

リアクションがやたらと楽しい霧香

凄い曲者な匂いを漂わせておきながら実はとても素直なラナ

と方向性が全然違う3人のヒロインはとても良かったと思います。
あとはまあサブキャラも濃いのが多いので、色々と楽しかったです。

話の展開としては、「AI+近未来」モノであれば割と定番ともいえる内容だったと思いますが、各々のルートが良い感じに絡んでて、そのあたりに創意工夫が感じられましたね。
特に霧香ルートに関しては、ギミックが斬新で話の展開も上手く、これだけでもプレイする価値はあると思います。

ツクヨミルートに関しては、扱う題材や世界観的に予想の範囲を超えるような内容ではなかったですが、それでも十分に楽しめました。
ですので、こういったテーマが好きな人は同じように楽しめるかと。

あと、最後の方までゲームタイトルの意味というか、なんでこういうタイトルになってるんだろうかというのが判然としなかったのですが、ツクヨミルートを終えることで自分なりの答えは出ました。

きっと、最後のあの結末と光景が「神様のような君へ」贈る祝福でありプレゼントなんだろうと解釈してます。

個人的願望を言えば、ツクヨミルートでラナや霧香が抱えてる問題も解決する描写が欲しかったり、玲音の「その後」についても何がしかの描写が欲しかったかなあという思いはあります。
そういった点も上手くできていれば、おすすめ度・評価度ともにもう1つ上だったかなと思いました。

pieces/渡り鳥のソムニウム/Whirlpool 感想

【評価ポイント】

この作品の一番の魅力は、やはり世界観というか舞台設定かなと思います。
どこか作り物めいた感覚を受けるんですが、その一方で人々はそこで確かに日々生活していて、そういった意味では間違いなく本物なんですよね。

現実なのか虚構なのか判別できない世界で起こる様々な事象と、そこからTRUEルートへと繋がる流れは見事であり、とても美しいものでした。

また、キャラ同士の掛け合いがテンポよく且つ面白くて、キャラゲーとしても良かったと思います。
個人的には紬がとても刺さったキャラで、ここまで良い「幼馴染」キャラは久しぶりでした。

【マイナスポイント】

TRUEのルートが非常に良い反面、他のキャラの個別ルートが弱いのが残念なところ。
もっとも、個別ルートの内容がTRUEにも大きく関わってくるので、個別ルートが無駄というわけでは無いです。
また、先の話になりますが続編(というかFD?)も出るみたいなので、そこで各キャラの個別ルートを補ってくれれば万事OKなのですが。

【評価度】

評価度:9
あめぐれと並ぶとまでは行きませんが、期待していたものを期待以上に作り上げてくれたと思っているので9にしています。
本当に素敵な世界観でした。

【おすすめ度】

おすすめ度:8
作品紹介ページを読んで気になったなら、買って損はないかと思います。
恐らく期待している内容の通りですので。
各ヒロインのキャラ性に関しても、最初に期待していた通りの内容をきっちり提供してくれました。

【その他感想】

ええ、もちろんハピメアっぽいと思ったから購入しましたとも。

そこはもう動かしがたい事実です。
妹キャラはいませんが(それっぽい後輩はいます)。

プレイしていて一番最初に良いなと思ったのは、評価ポイントにも書きましたが「キャラの掛け合い」ですね。
それこそハピメアを想起させるレベルで掛け合いが面白く、特に紬やありすとの会話は良かったです。
(紬が好きすぎて、結ばれた時点でもう満足、みたいなことになってプレイや止まっちゃった事実も・・・)

個別ルートに関しては、ヒロインとくっついた後にそのヒロインが抱える課題を解決していくわけですが、ENDまでたどり着いても根本の謎が残るというか、そもそもどういう状況なんだ?というモヤモヤが残ったのは事実です。
ある意味で最大級に、中途半端に情報開示された紬ルートは一番強くそう思ったかもです。

ただまあそれらの謎がTRUEでほぼ全て綺麗に回収されて、且つ、終わりに向かう世界で過ごす時間はなんとも言えない独特な雰囲気があり、「ああ、なんか良いな」と感じてました。
プレイした人なら分かると思いますが、本当に良いんですよねあの当たりの場面。
また、その更に先の展開からENDまでの流れも美しく、総じて「綺麗な」お話であったと思います。

そんな中、あえて特筆すべきとすればサブキャラ2人、貴美香と晃司でしょうか。

作中の大半でバカなことばかりやっていたのに、最後に美味しいところを見事にもっていった感じでしたね。
特に晃司。
「なんだあれは、お前こんな格好いい奴だったのか」と思いました。
続編では貴美香も昇格ヒロインになっているらしいので、どんな展開になるのか楽しみですね。
彼女とくっつくイメージは、今のところまるで沸かないのですが。

続編は当然購入予定で、叶うことなら各個別ルートもTRUEに負けないレベルで仕上がっていると嬉しいですね。

ソムニウムはまだ終わらない!!!

さくら、もゆ。 -as the Night’s,Reincarnation- /FAVORITE 感想

【評価ポイント】

個人的な最大の評価ポイントは、音楽(特にBGM)ですね。
1つ1つの曲が素晴らしく、そして多彩。
何よりも作品に非常にあっていて、まさに物語を彩っていました。
ここまで音楽に魅せられたのは、「ハピメア」以来ですね。

また、シナリオも大変良かったと思います。
「物語とはかくあるべし」という製作スタッフの痛烈なまでの思いを受け取りました。
ここまで貫ける作品は、そうそう見つからないと思います。

その他の点についても高水準に収まっており、出来は非常に良いと思います。

【マイナスポイント】

まず、人を選ぶ作品であるというのは間違いないですね。
それにプラスして冗長な面は否定できず、話自体も難解ではあります。
私は割と雑食なタイプなのである程度進めると慣れましたが、それでも最初は少しきつかったです。

【評価度】

評価度:10
「あめぐれ」に9を付けたこともあって若干迷いはしたのですが、最終的には最大評価値にしました。
作中のシーンでは、何度も何度も心が震える場面があって、プレイしてよかったと素直に思えます。

【おすすめ度】

おすすめ度:8
評価度のバーターというわけではないですが、こちらは一段下げてます。
文体だったり展開だったりが本当に人を選ぶので、安易にはお勧めしづらいところです。
それでも、プレイしてほしい作品ではありますが。

【その他感想】

正直、長かった・・・。
軽いお話ならまだ楽なのですが、相当にヘビーなお話なので読み進めるのがある意味でかなりきつかったなあという思いはあります。
ただ、それでも最大評価をしているあたりに、自分がどれだけこの作品が好きだったかが表現されているかなあと。
なんというか、ここまで愚直なまでに「表現したいことを表現した」作品をプレイするのは久しぶりで、その熱量にまず圧倒されましたね。
そのうえで、シナリオとBGM、CGや演出などがとても高レベルで、「果たして今年、これ以上の作品が出てくるのかなあ」と思ったのは否定できないです。

どのヒロインもとても素敵だったのですが、一番をあえて選ぶとすれば「柊ハル」でしたね。
ルート的にも、ハルのルートが一番好きだったかな。
「愛」とは何か、それが「壊れた世界」の中で、強く表現されていたかと思います(どのルートも似た感じではあるのですが)。

攻略ヒロイン以外の名前を出すと、あさひさんが本当に強かった。
あそこまで愛を周囲に対して、嘘偽りなく振りまける人は「お話」の中にあっても稀だと思います。
ただの自己犠牲ではなく、本当にそう思っていることが強く感じられ、ただただ感服するばかりでした。
他のキャラに関しても、全員が精いっぱい「生きて」いました。
その生き様は、確かに読み手を勇気づけ、元気づけ、前へと進めるような「作品」であったと思います。


せっかくBGMを評価点に挙げているので、個人的に特に好きなBGMを以下に箇条書きにしておきますね。

・「はるのあしあと」
・「忘れたいはずのなにか」
・「失われた刻をもとめて」
・「Reincarnation Ⅲ」
・「この美しい世界」

他のBGMも素晴らしいのですが、とりわけこの5つは心に残っています。
歌に関しても、非常に「美しい物語」のようになっているので、是非歌詞を頭の中に浮かべながら聴いてほしいです。


この作品を最後までプレイして改めて思ったのは、この作品こそが、作中の中で語られていた「作品」であったなあということです。
大雅「達」の生き様、これは誰のための物語なのか、ヒーローはどこにいるのか、ソレらの事柄はまさに「珠玉の物語」であったと思います。

アメイジング・グレイス -What color is your attribute?/きゃべつそふと 感想

【評価ポイント】

まず何を言っても、シナリオ全体の構成ですね。
ここではあまり詳しくは語りませんが、各ポイントに散りばめられた伏線は見事で、その伏線が1つ1つ回収されていくときにはゾクりとする感覚すら抱きました。
また、ラストに向けての盛り上がりは、シンプルに激アツでしたね。
加えて、それぞれのヒロインが非常に魅力的かつ個性豊かだったのも好評価です。

【マイナスポイント】

主軸となるお話は素晴らしいのですが、個別の「ルート」となると若干弱かったかなあという印象でした。
あと、「最後の困難」の解決に至るまでの流れは駆け足に思えたので、もう少し丁寧に描画して欲しかったかなという思いもあります。

それと、「推理モノでなくノベルゲーム」なため、プレイヤーとしては気にかかってる事象でも主人公が気にかけないとその謎が解明されないため、「何でアレを調べに行かないんだ!」的な思考になることは何回かありましたね。

【評価度】

評価度:9
パッケージおよびタイトルを見た瞬間から「これは良さそうだ」と思っていたのですが、想像以上に刺さりました。
10を付けようか迷ったのですが、自分の中でトップに位置付けている「ハピメア」と比較すると「マイナスポイント」としてあげた点で引っかかったので、「10に近い9」という評価になっています。

【おすすめ度】

おすすめ度:9
ループものがイケる口であれば、プレイすることをお勧めします。
キャラが可愛いですし、何より楽しくて感動します。
個人的には、やはりユネがイチオシです(とってもピュア)。

【その他感想】

今回は流石にネタバレがきついので、以下は白文字で記載します。
読まれる方は、反転して読んでください(ただしネタバレには本当に注意を・・・)。

大雑把な評価は上に記載したとおりで、「非常に刺さった」作品でした。
前作の星恋で漠然と感じていた不満(というか改善して欲しい点)を見事にひっくり返してきて、正直驚きました。
もちろん今作にも「こうして欲しかった」的なポイントはあるのですが、それよりも良かった点、優れていた点を評価したいというのが率直な思いです。

評価のポイントとしては、伏線の張り方は本当に良かったと思います。
その大半が「超高度なロジック」で成り立っているのではなく、「きちんと時系列に並べてみれば当然の流れ」になっていて、そのことが判った瞬間の カタルシスは相当なものがありました。
何よりそれを強く感じたのは、リンカが町の中に突入してきたシーンでした。
シュウが何故オーロラの中にやってきたのかという根本の疑問を、一瞬にして綺麗に解決してしまったのですから。
「そうだよ、普通に考えりゃ中でやばいことが起こることに気づいた奴が手引きしたに決まってるじゃん。そしてそれに当てはまる奴いたじゃん」と心の中で突っ込んでいました。

実は、一番最初にこの作品は「良い」と感じたのは、キリエのルートでした。
最後にシュウがした質問に対して、キリエがきっぱりと「思わない」と答えたシーン。
このシーンだけでも、このルートには意味があったのだと感じました。
「正史」を辿れば見ることはないルートなんでしょうが、その中で垣間見えた彼女の本心。
それに触れられたことが、そのときは嬉しかったですね。
まあ言葉の意味を正しく理解するのは、ずっと後になってからだったわけですが。
コトハがずっと言っていた「女優キリエのファン」という事に何となく違和感を抱いていたのですが(だって女優としてのファンなら、自分が監督をやってでもキリエに役をやらせるじゃないですか)、まさかそうなっているとはって感じでした(ギドウ、哀れ・・・)。
そういった、細かい演出の仕方も含めてとても見せ方が上手かったなと思います。

また「クサい部分の匂わせ方」も上手かったかな、と。
特にサクヤとの関係性は秀逸の一言です。
プレイヤーの大半は、一緒にループしているのはサクヤだと早い段階で気づいたと思います(自分もそうですが)。
しかし、その理由が何故か見えてこない。
そもそもの目的がどこにあって、何を望んでいるのかが。
そこからクライマックスに向かう流れは、まさに怒涛で半端無い盛り上がりであったと思います。

主犯であるギドウについても、良い味を出していましたね。
彼が犯人であることが判明してから滔々と語られる本心と苦悩。
主人公たちが決して嫌いではないのに天秤にかけざるを得なかった境遇。
そんな中でのコトハとのやり取りは、本当に心を打つものがありました。
コトハがあのような厳しい言い回しをするのが驚きで、でも「ギドウのことを心から認めていて、良きライバルと思っているから許せないんだな」ということがヒシヒシと伝わってきました。
このシーンでもう涙腺が崩壊していましたね。

そしてその後に来るのがサクヤの独白という。
アオイトリ」でも似たようなシーンがありましたが、こういうシーンはガチで堪えますね。
特にサクヤの場合は、退くもならず行くもならず、そんな中で好きな相手の記憶を消してしまわなければならないという、非常に過酷な運命を背負ってました。
しかもそれが幾度もループするという。
あの笑顔の裏にどれだけの涙があったのかと思うと・・・。
BGMが「アメイジング・グレイス」なのも本当にズルい・・・。
あんなのこっちも号泣してしまうしかないですよ。
ユネのルートにたどり着くためにはそんなサクヤを拒絶しないといけないのだから何とも辛いものです。
ただそこでサクヤを選んでしまうと、ずっと想いを秘めてシュウに力を貸していたユネを選べないのだから、究極の選択でした。
サクヤにしてもユネにしても、だからこそその後のルートでの笑顔は尊くまぶしいものがありました。

語れることはまだまだありそうですが、ひとまずはこのあたりで。
最後に言うこととしては、「とても楽しかったです」ということと「とても感動しました」の二言でしょうか。

今作を生み出してくださったきゃべつそふとの皆様およびスタッフの皆様
本当にありがとうございました。